コワーキングを「会場」から「現場」へ

※このエントリはコワーキング・アドベント・カレンダー2012に参加しています。

時期も時期なので、今年のボクのコワーキングを軽く振り返っておきます。(一応、カフーツとしてここに書いてますが、コワーキング協同組合のサイトkanzan10to9ブログでも、あらためて総括しておくつもりです)

今年は、あれは春以降でしょうか、日本のいたるところにコワーキングが生まれ始め、ことに東京圏内でその勢いが増すに至って、コワーキング関連のイベント開催が立て続けにあり、有難いことにその多くに参加させていただいた年でした。

6月に東京品川で「コワーキング・カンファレンスTOKYO2012」が開催され、その後、8月に兵庫県の後援を得て「コワーキング普及推進フォーラム コワーキングを知ろう!」を神戸で、9月に「NEOWEEK2012 ~これからの働き方とワークプレイス~」でもコワーキング関連のシンポジウムと体験ジェリー(結局、知っているメンバーだけでしたが)を東京芝浦で、その同じ日に札幌へ飛んで「北海道コワーキング・パーティー2012」に参加し、10月には「神戸ITフェスティバル」でも講演と体験コワーキング、パネルディスカッションをやり、いよいよ11月には「コワーキング・フォーラム関西2012」が大阪で、と、もう目まぐるしい今年後半でありました。その個々の内容についてはこちらを参照ください。

こうして、各地でコワーキングのイベントが行われたことは、コワーキングに対する理解を深めることになり、今後の普及と定着におおいに貢献するので、非情に喜ばしい限りと思っています。と同時に、その地方の環境に則したそれぞれのコワーキングが生まれ、その地に相応しいシステムを持って運営されることを考えるきっかけになったとすれば、講演やパネルディスカッションに参加させていただいたボクとしてもこれに勝る喜びはありません。

さてそうしたことを経験した上で、これからのことをツラツラ考えています。そのひとつ、「学び」について書いておきます。

カフーツにおいては、1月から続けてきたプラワン・スクール(セミナー)が60本のエントリ(そのうち5本が参加者少数で中止)で、延べ475名の参加を得ました。うちの規模から考えて、当初から「少数+継続」型で行こうと思っていたので、その意味ではそれは一応できたかなと思いつつ、反省点もいくつかあります。

そもそもこのセミナーは、コワーキングの理念に則って、各コワーカーが自分の得意とする領域のことをテーマにお互いに「教えあう」というスタイルを形にすることと、そしてそこで出会った人とつながりを持つこと、さらにコワーカー同士でプロジェクトチームを組んで仕事にあたるときに、各自の担当を超えても共通言語でディスカッションができるということを、その目的にしていました。これはこれで、結構受け入れられて、それなりの成果はあったと思います。

しかし、夏以降に感じていたことは、インプットばかりでアウトプットがないために一種の消化不良を起こしているのではないか、という疑念です。つまり、学ぶことは大切なのですが、それを形にする機会を何らかの形で持たないと、身につかないという当たり前の現実です。これは前述の「コワーキング・フォーラム関西2012」のテーブル・セッションでもテーマにさせていただき、参席いただいた方からもいろいろご意見いただきました。

そこで、来年はこれまでのセミナーにアウトプットする仕組みを加えたセット形式のものもやってみたいと考えています。学んだことを実際の案件で活かせれば、それに越したことはないのですが、その前にそれにかわる課題を用意して参加者全員でワークショップ形式で形にするということです。そこで実践したこと、うまくできたこと、けつまずいたこと、それを解決したこと、それらを皆で共有することで、より実践的なセミナー+ワークショップにするという魂胆です。場合によっては泊まりこみ、合宿なんかもやるつもりです。

コワーキングのスペースが、各種のセミナーに利用されるのは、その場所の認知度をあげ、参加者同士がつながる機会を得、仕事仲間を増やすことになるので大賛成です。しかし、あくまでコワーキングはコミュニティであるという理念に則れば、そこは個人として参加するイベントのための「会場」としてだけではなくて、誰かと何かを創造・創作・開発する瞬間を共有する「現場」でもありたいと、ボクは思っています。

そしてそれを各自の仕事の場で活かし、またそれをフィードバックして皆で共有する。それがコワーキングのいいところであるわけで、決して孤ワーキングではありません。ま、うちなんかは、誰も来ない日もあるのでそういう時もあるにはありますが、コミュニティとは物理的なものではなく心の問題なので、「共有できる何かがある」と実感できることをやっていきたいと、この秋、改めて思った次第です。それを具現化するために、また例によって右往左往、試行錯誤を繰り返してみるつもりです。よろしければ、是非ご参加ください。

その他、お詫びを兼ねてご案内しておくこととして、1月(もう1年!)のジェリーで発作的に企画した『カフーツのうた』ですが、レコーディングとミックスはすでに終わっているものの、その後、主にボクの段取りの悪さが原因でズルズルと延びに延び、今日に至るまでリリースできておりません。

が、ジャケットデザインもほぼできましたので、近日中に、アマゾンにてリリースする運びとなっています。なお、この曲はダウンロード販売しますが、収益金のすべてを東北大震災の被災地に寄付します。リリースの際には告知いたしますので、どうか皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

ところで、去年のアドベント・カレンダーに参加したブログでは、行政、企業、大学とつながりを持つことで地域コミュニティ型のコワーキングの普及を図りたいと書いています。来年はそのほとんどについて、カフーツといういちコワーキングではなくて、この夏認可され設立されたコワーキング協同組合として動くことになります。それについては、コワーキング協同組合のサイトで書かせていただきます。

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About itotomio

カフーツ主宰の伊藤です。日本にコワーキングが根付くことを目指しています。