コワーキングやってみる宣言からまる2年後に思う3つの要件。

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今回のブログはCoworking Japan Advent Calendar 2011に参加して書いています。 なので、少し長めです。(スミマセン、いつもです)

そのアドベント・カレンダーに参加する際、この21日を選んだのには訳があります。ご存じの方はご存知でしょうが(当たり前ですね)、2009年12月21日にボクは一本のブログを書きました。これが日本で最初に「コワーキングをやるよ」と宣言したものだったようですが、そんなこととはつゆ知らず、とりあえず自分に近しい人達に共鳴していただけたらという想いで書いたものです。

カフーツ~ノマドからCoworkingという働き方へ。

当時、流行りだした「ノマドワーキング」に引っ掛けて、むしろこれからはコワーキングという働き方が社会に定着するはず、いやそれこそが絶対に必要なのだと考えて、熱に浮かされたように、というか当時誰もコワーキングなんて言っていないから一人で勝手に盛り上がって謳いあげています。

その後、物件探しの最中に早々とコワーキングVISAに加盟する妄想をふくらませたり(気が早っ)、

カフーツの候補物件を見てきたよ。

結局、小さく始めることにして、前からいたビルのオーナーに賃貸借契約ではなく、最初はコワーキング実証実験プロジェクトのパートナーとして契約していただいたり、

かくしてカフーツ発祥の地は、ここに。

スタート前に、近しい人達に集まってもらって、どういう運営が望ましいか、利用時間から必要な設備・機器、利用規約、コントゥリビューションの理念、SNSの開設、ついでに他地域のコワーキングとの連携までディスカッションしてたり、

カフーツは、融通無碍の精神で船を出す。

と、いまあらためて当時のブログを読むと、(これからコワーキングをやろうと考えておられる方々の参考になるかもと思い上がりつつ)、あ~、そうやってあ~でもないこ~でもないと来たんやな、と感慨ひとしお、うっかり涙ぐんでしまいました。ハハハ(ウソ)。

ついでに、その後のことは、先日の「コワーキング・フォーラム関西2011」後にサイボウズさんが取材してくださったので、そちらの記事も併せてお読みいただければ幸いなのですが、

関西で見たコワーキングという”リアル”――コワーキング・フォーラム関西 2011

カフーツのこれまではここまでにして、これから先、やっていきたいことを、簡単に書きとめておきたいと思います。

まだまだ認知度は低いとはいうものの、こうやって、ようやく日本でもコワーキングに火がついて、あちこちで産声を上げるようになってきたのは全く喜ばしい限りです。

しかし、この火種を絶やすことなく文字通り各地に飛び火させ、少しずつメンバーを増やし、それらが横につながり、誰もがコワーキングという言葉を普通に使うまで社会に根付かせるには、さまざまな取り組みが必要です。そして、ボクが考える地域コミュニティ型のコワーキング普及のポイントは大きく3つあります。

ひとつは行政、地方自治体です。

ボクが運営するコワーキングは、あくまで地域コミュニティを核にもつ働く人たちの繋がりであるので、そういう意味では地方行政に対して果たせる役割はありますし、我々もまた行政からサポートされたほうが良いケースも考えられます。

「働く」という、地域住民の誰にとっても最重要課題について、自治体と連携して動かせるスキーム、そこにコワーキングという仕組みが絡むことは大いに効果的だと考えています。

ボクの窺い知るところでは、ニューヨークのNewWorkCityもサンフランシスコのCitizenSpaceも何らかの形で行政とつながっていて、お互いにメリットを分け合っているようです。それはソフトとハードの役割分担であるかもしれませんし、資金と人材の合弁であるかもしれませんが、いずれにせよ互いが補完できる領域は存外大きいと感じています。

岐阜県大垣市では、地方自治体主催でコワーキング体験イベントのジェリーが行われていますが、ボクもここ神戸にコワーキングをしっかり定着させ、そこで働く人達がどんどん増え、得意なことを仕事にする人たちでコラボを組み、多くの新しい価値を生み出し、その成果をシェアすることで、街全体、日本全体が元気になることを夢見ています。

そのために、まずは地方行政との連携の緒を掴めるよう、様々な提案をしていきます。そして、その成果がひとつでも全国各地のコワーキング運営のモデルケースになればと思います。

実は、先日、コワーキングを研究対象にしている、ある大学院生の訪問を受けたのですが、彼とのディスカッションの中である公的施設内にコワーキングを開設するというサジェッションをいただきました。どういう施設かは、あえてこの時点では伏せておきますが、すでに考えている来年の企画の重要な要素になることは間違いないので、その布石にすべく今から動くつもりです。

2つめは、企業です。

ご存知のように、東京ではコクヨさんをはじめ名だたる上場企業が、来るべき労働新時代に向けて、コワーキングの可能性について実証実験を始めておられます。

この試みで得られるデータは、新しい労働環境における各社のビジネスのヒントとして活用されることでしょうが、その対象が日本中の大中小企業であることは言うまでもありません(と、勝手に考えています)。

もしこのアプローチに多くの企業が呼応して従業員のワークスタイルに、例えば「社内」コワーキング、あるいは「社外」コワーキング、もしくは「社間」コワーキングを導入することになれば、我々地域コミュニティ型コワーキングの動きと並行して、企業単位でコワーキングという働き方が社会のそこかしこで実践されることになります。

まさか、何の根拠でと思われるでしょうが、可能性はゼロではありません。企業が生き残るために、これまでの形態を維持できなくなってきているのはもはや明白です。殊に、できるだけ身軽にしつつ、必要な時に必要な人材をどう確保するかは喫緊の課題です。

さらに言えば、多くのリソースが大企業に集中するのではなく、小さな組織がいくつもいくつも存在しつながりあって価値を生むほうが、社会資本的に見ればはるかに合理的です。

企業の、一気とはいかないまでも、ある程度まとまった数の人たちがぞろりと動き出すという事がポイントです。その効果のほどはやってみなければ判らないものの、しかし、間違いなく何らかの軌跡を描いて、徐々に今の社会の向かう方向を変えることになると予想しています。

あるいは、この企業という存在が、コワーキングというプラットホームで存在感を示すのは、今まだこの段階では、異様に映るかもしれません。

しかし、場合によっては企業とフリーエージェントとの接点が今よりも数多く生み出され、そこでもコラボの機会が生まれ、多くの新しい価値を生み出し、その成果をシェアする(と、さっきと全く同じ事を言ってますが)ことで、社会全体がひとつの事業体を構成することを加速しないとも限りません。

そうなると、当然ですが、地方のみならず今度は国も関わりを持ち始めます。というか、放っておけなくなる。これまでの例に漏れず、世の中の動きに後追いで、さまざまな制度や構造、ルールが変革を余儀なくされる。そうして、コワーキングの普及に一役買うと、はい、またまた確信的に妄想しています。

ちなみに、企業がオフィスの一部を開放してコワーキングに供するというワークスタイルは、既に現れています。お互いの境界線の引き方にちょっとした工夫が必要かもしれませんが、こと「仕事」というキーワードでくくってしまえば、社外のリソースとの直接接点を設けるひとつの方法として理に適っています。

企業内コワーキングについても、ボクは今後、これまでの経験と知識を生かして可能な限りサポートしていきます。

最後は大学、もしくは教育機関全般です。ここは話し出せば一番長くなるので、要点だけ短く書いておきます。(このまま書いてると、2012年になりそうなので)

就活に2年も費やすのは不合理かつ不経済です。ついでに言えば、いまどきの大学に一般教養などというものは不要です。専門分野における知識と問題解決能力を学生に授けつつ、彼らの「仕事」としてやりたいことをサポートし、「会社」の一員ではなく、「社会」の一員として役立つ人を育成するプログラムを提供すべきです。

コワーキングは「仕事」を核としたコミュニティですが、このコミュニティに参加して仕事することが、企業に属して仕事をするのと同様に、あるいはそれ以上に、いまいる社会にコミットすることになる、この一点だけでも、教育機関全般は学生に対する責任として、コワーキングに注意をはらうべきと考えます。

この大学とコワーキングについては、また別の機会に書きたいと思いますが、チャンスがあればいつでも教育機関関係者、ならびに学生の諸君とコワーキングに関しての情報を共有していきます。

などと、まぁ、エラそうに書き飛ばしてしまいましたが、コワーキングの普及のためのこれら3つの要件のうち、一足飛びに実現するものは、無論ひとつとしてありません。そして、もっと細かく見れば解決すべき課題はまだまだたくさんあります。しかし、ある程度のグランドデザインを共有できる者たちがいれば、物事はそれなりに動くはずです。

理念の共有と協働。コラボとシェア。コワーキングを表すこれらの言葉が、コワーカーの胸に確かに響いている限り、決して不可能ではないと信じています。

以上、一人で盛り上がったコワーキングやってみる宣言から、まる2年後の今日、2011年12月21日、伊藤記す。

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About itotomio

カフーツ主宰の伊藤です。日本にコワーキングが根付くことを目指しています。