もう、そこにあって、始まっている~コワーキング・フォーラム関西2011に寄せて~

去る12月11日(日)、神戸三宮の貿易センタービル26階KIITOで「コワーキング・フォーラム関西2011」が開催されました。開催趣旨はこちらの記事を参照願うとしまして、予定していた全プログラムと会場に設営されたジェリー・スペースの同時運営はつつがなく進行し、ひとまず、「日本のコワーキングのいまを伝える」という当初の目的はなんとか果たせたかと思います。参加いただきました皆さん、誠に有難うございました。

当日は、朝10時にオープンした瞬間から予想を上回る来場で、瞬く間にジェリー用に用意したテーブルが人で埋まり、やぁやぁと知り合いに挨拶して談笑する人、同席して名刺を交換する人、そのそばでおもむろにノートを開いて早速仕事する人と、それぞれが自分にとってのコワーキング・フォーラムを楽しむ姿に、「あ~、午前中はまったりしようかと思ってたのに~」と口では言っていたものの、心の内では「やっぱり、今だったな」と気を引き締めておりました。

先の開催趣旨を書いた頃には、コワーキングと呼ばれる場所は世界で700カ所以上と言っていますが、これは夏頃の情報で、11月にベルリンで開催されたコワーキング・カンファレンス2011の事前調査では1,100カ所に上ると報告されています。ヨーロッパに限れば昨年より倍増だそうで、まあそれでも多いとは言えませんが、しかし今後益々勢いを増すのはほぼ間違いないと思われます。

そしてそんな世界の潮流の傍らで、こうして日本でも、規模はどうあれ、コワーキングという働き方(=生き方)について皆が情報や知見を共有し、これからの働き方を考え行動する機会を得たのは大変意義深かったと思います。

ところで、企画が持ち上がってわずか2ヶ月で、100名規模のイベントを首尾よく挙行できたのは、もちろん貢献精神旺盛なコワーカーの皆さんがボランティアで実行委員を勤めて下さったからに他なりません。このことはここであらためて強調して、その尽力にお礼申し上げたいと思います。

しかし、参加された皆さんのその場を楽しんでおられる顔を拝見するにつけ、このたびの盛り上がり(敢えて、成功とは言いません)のもう一方の主因は参加者自身の存在であると気づかされたこともまた申し述べておく必要があります。

筋書きも落とし所も思惑もお膳立てもありません。来場の折に配布したパンフレットにも、「コワーキングを定義する意図はゼロです」と明記しました。各々が各々のコワーキングを表現し、そして各々のコワーキングを見つける。そのことを目的に我々は集い、そして自然にそこに立ち起こったのが、このたびのフォーラムであり、時の流れるままにその場で出現するあらゆることに全員が融和していった、そういう出来事だったと思います。

そして、あの場に集った人たちが、ホストやゲストの区別なく全員が参加者となり、一つのテーマによって密接に繋がった空間を生み出したことが、コワーキングの理念をそのまま形成せしめたと考えています。

そういうイベントはちょっとやそっとではあり得ないのではないでしょうか。もうそうなると、もはやイベントとは言えませんね。瞬間的ではあるものの、価値観を共有するある種のトライブ(部族)が生まれたようなものです。

「自画自賛もいい加減にしろ」というお叱りの声が聞こえてきそうですが、いえ、そうではありません。意図してそうなったのではなく、そういう事が起こる時期なのです。すでに、もう、今。

我々が今生きている社会の仕組みが、確実に変革していこうとしている。そのパワーは日に日に大きくなる。もちろん、点在するひとりひとりの熱量はまだまだしれているかもしれません。しかし、それがそこかしこに起こり、互いに繋がることで化学反応を起こし、地域の、社会の成り立ちも変化せざるを得なくなる。それはもう、始まっているのです。

ボクがこのフォーラムのことを言い出したのは、単なる思いつきではありません。ずーっと前から、微かな遠雷を聴くような、低い地響きに竦むような、しかし確実にこちらに向かって忍び寄る気配を感じながら、自分たちの手でそうする必要がいつか生じると思っていました。ただし、いつだかは判らなかった。でもそれは今だったのです。言い換えれば、これは、起こるべくして、起こったのです。

このフォーラムに参加した皆さんは、知ってか知らずか、そういう力に突き動かされて、会場のドアを開けた人たちです。どうか皆さんが感じたままを、友人知人にお茶でも飲みながら話してみて下さい。あるいはブログやソーシャルメディアで伝えて下さい。どこかの誰かが振り返って腰を上げるかもしれません。そういう人がひとりでも増えたなら、我々の果たした役割も意味があったと胸を張れそうです。

コワーキングは、決してブームではありません。生き方を、そして社会を変えるイノベーションです。そしてそれは、もう、そこにあって、始まっているのです。

(写真協力 完山祐毅さん&山川ジャッキーさん)

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About itotomio

カフーツ主宰の伊藤です。日本にコワーキングが根付くことを目指しています。